■遠州産地の主な繊維製品

1. 広幅織物

 (織幅51㎝以上、110~145㎝が中心)

 

 遠州地域は織布工程を受託する機屋さんが多く、生産品目も綿織物(綾織物・変り織・先染織物・平織・朱子織等)、ポリエステル関連(平織生地・平織先染・綾織生地・綾織先染・変織生地・変織先染・麻混等)、スフ織物などの生産が主流で、細い糸を綺麗に織り上げる技術は世界有数とうたわれています。

 心地よい肌さわり、豊かな風合い、テキスタイルの美しさなど、糸から生地に織り上げる細やかな織屋さん、その先にある生地加工屋さんの技術とこだわりによって、世界のバイヤーが買い付けにくるほどの此処でしか作れない品質の良さです。

 これらの織物は、ドレスシャツ等のファッションテキスタイルからシーツ等の寝具まで幅広く使用されています。

 

 

2. 小幅織物

 (織幅13~51㎝)

 

 江戸時代から織り始められた遠州地域の木綿は、浜松繊維のルーツと呼ばれる織物で、日本の四季から生まれた温かみのある「日本織」とやわらかな質感が特徴です。

 遠州地域では、丹前地や色白格子、寝巻き用の縞、作業着用の遠州縞などの和服用の小幅(反物幅)が生産されてきましたが、1960年代初め頃にはウール着尺が主流となりました。現在は、毛、絹、綿、化繊など様々な短繊維の織物を生産しています。特に、ゆかた等の実用着尺は全国的にも有数の生産地となっています。

 

 

3. 細幅織物

 (織幅13㎝未満)

 

 県内では、薄地テープ、中・厚地テープ、包帯の細幅織物や、靴紐、組紐、ゴムひもの紐類の生産が行われています。

 用途は、産業用資材の吊りベルト、シートベルト、カメラ用などのバンド、家具等の耐震資材のほかレジャーやスポーツ関係の製品に用いられています。

 

 

4. 別珍・コール天

 

 コール天は明治27年、別珍は明治43年に、旧福田町(現 磐田市)で生産が始まりました。

 別珍は、綿ビロードの一種の毛羽の短い横パイル織物で足袋や鼻緒,服地,劇場の緞帳に用いられています。

 コール天は、縦方向にパイルのうねを表した綿織物でコーデュロイとも呼ばれています。いずれも、他の織物より複雑な工程(剪毛・特殊仕上げ)が必要で、国内では磐田市福田地区だけが一貫生産の体制を有しています。

 国内生産の殆どを当地域が占めており、綿以外にも毛やレーヨン、絹を原料としたコール天の織

布やパイルのカッチング加工にも積極的に取組んでいます。

 

 

5. からみ織

 

 からみ織は、魚網がルーツの織物で、織り方に、紗・絽・羅の3種類があります。遠州地域は古くから、からみ織の産地で、織機で織れるのは紗と絽であることか

ら、この2種類が主な生産品です。

 隙間が大きく開いている織物のため、夏向きのショールやネクタイ、カーテン、のれん等の用途に用いられています。

 

 

6. 浜松注染そめ

 

 「注染そめ」とは日本にしかない染色技法で、糊を置き、型を使い、柄の部分にやかんで染料を上から注ぎ染めることからこう呼ばれます。その発祥は明治時代までさかのぼり、現在でも生地の良さを生かしながら、1枚1枚職人が手で染めています。染めた布に表裏がなく、多彩な色づかいと色のぼかしが特徴です。